雨のベランダ

今日は雨。私のマンションの5階のベランダから歩道を行き交うカラフルな傘の花が見える。

ちょうど登校の時間帯で小学生の乱れた傘の列。赤、青、ピンク、黄色……踊ったり跳ねたり元気いっぱいの傘の花。

少し時間帯がずれて今度は中高生の登校。さすがに跳んだり跳ねたりはしないがおしゃべりに夢中なのか、傘がくっついたり離れたり……。

さらに遅れて仕事に向かう大人の傘。一つずつ離れ離れにただ黙々と歩く。まるで蟻のように一直線に……。

その後はポツリポツリとどこからともなく思い出したように湧いてくる老人の傘。ほとんど色彩の無い黒か、白いビニール傘……。

続けて眺めているうちに目頭が濡れてくるのが分かる。雨はベランダの屋根でさえぎられて当たるはずも無いのに……。

この四者四様の傘の列。だんだん元気が失われて行くのに気付いたからかも……。
人は歳を重ねるごとに何かを失って行くものなのか……。

もし、そうだとしたら何と空しくて、悲しくて、哀れな生き物なんだろう……。

明らかに最後の傘の部類に入る自分……。
歳と共に諦め、失い、逃し続けてきた人生……。しばらく雨のベランダに立ち尽くすしか無かった……。

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